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ほとんどの情報機器は、限られた大きさのモニターと備え付けか小規模の音響設備あるいはヘッドフォンやイヤフォンを通して視聴覚情報を提供している。大抵の人はそのような環境にて情報に触れる。投影装置や大型モニターと大規模音響システムとったホームシアターやVRゴーグルのような特別な視聴環境にて外部の情報に触れている人は、それほど多くない。
いずれの情報環境にしても、オンラインを通して不特定多数と繋がることが可能であり、実空間を経由せずとも視聴覚の体験を共有する。個々に体験することが前提のため、共有される情報は共通の体験を与えるものとして見做される傾向を持つ。これが現代の情報環境に関する大方の理解である。この考えに基づき、情報環境は個々人の場所が持つ固有の輪郭を超えて共有されるような表現を、優先的に選択する。
このワークショップでは、選択されなかった個々人の場所が持つ固有の輪郭に焦点を当てたいと考えている。視聴覚情報が環境によってどの程度異なるのか、実空間が所有する物理的な輪郭は如何に機能しているのか、などを実際に比較体験してみる。そして、限られた情報環境と個々人の場所が持つ固有の輪郭を積極的に活かすにはどのような方法が考えられるのか、ということを主題にした実験を試みたい。